
聴覚障がいのある方が
自信を持てるような影響を与えたい。
品質・環境革新センター
品質・環境マネジメント部 QM企画・管理課

ライティング事業部
品質・環境革新センター
品質・環境マネジメント部
QM企画・管理課
課長
近藤 敬一(こんどう けいいち)
データ利活用で品質基準を高め、
「縁の下の力持ち」として製造を支える
近藤 中野さんが入社したのが、2018年ですよね。私は2021年にQM企画・管理課の課長に着任したため、実は入社の経緯を詳しくは知らないのです。まずはそこから教えてもらえますか?
中野 前職は金融機関で、内部の事務処理の仕事をしていました。私は聴覚障がいがあり、補聴器をつけていても、声だけで話の内容を聞き取ることが難しいです。ところが前職では、社内や支店どうしのコミュニケーションはほぼ電話で、メールやチャットなどツールの利用もありませんでした。やりがいはありましたが、もう少し働きやすい環境を求めて転職を決めました。
近藤 その中で転職先としてパナソニックを選んだのはどうしてですか?
中野 出会いは、転職エージェントからの紹介です。いくつかの会社を紹介していただきましたが、それぞれの一次面接を終えた時にはすでに、パナソニックに入社したいという強い想いを抱いていました。というのも、面接官が手話で会話をしてくれたからです。他の会社では面接官にゆっくり話していただき、私が「口話」という口の動きを読む手法で会話をする面接スタイルでした。当たり前のように手話を使われる方がいることに感動したことを覚えています。その他、社内に手話部があったり、手話をつかえる人が他にもいたり、待遇も健常者と同等であることが魅力でしたね。
近藤 すべての部署に手話ができる人がいるわけではありませんが、手話部や手話に関連するイベントなどもあり、手話を身につけている人も一定数いますよね。入社後は、QM企画・管理課に配属になり、今日に至るまで働いてくれていますよね。課の役割は、ライティング事業部の品質マネジメントシステムの高位平準化を図り、事業に貢献することです。具体的には品質ロスのデータ集計や分析、改善案策定などの業務を行っています。中野さんはデータの集計や可視化、報告書の作成を担ってくれています。
中野 私のメインの業務は主に3つです。1つ目は、Tableau※1という管理ツールを用いた各拠点の品質ロス実績の集計です。毎月拠点から送られてくるエクセルをデータベース化しています。2つ目はその分析データを用いて、傾向や改善点を可視化することです。グラフや図を用いてデータをわかりやすい形にして、月報という形で各拠点に送付しています。3つ目は、主にライティング事業部へ公開し、使われているポータルサイトの基盤管理です。私たちの部では、品質部門を中心にさまざまな専門家がポータルサイトに資料や記事をアップロードし、社員が簡単に情報にアクセスできる体制を築いています。私の役割はそのサイト構築のサポートやアクセス権の管理です。3つを総合すると、パナソニックの製造を支える「縁の下の力持ち」のような仕事ですね。



積極的な学びの姿勢で
課題を一つひとつ乗り越えていく


近藤 本当に頑張ってくれていましたよね。私も相談を受け、「社内のこの情報サイトを使ってみるのはどうでしょうか」「この部署のこの人なら知っているかもしれない」とさまざまなアドバイスをしましたが、中野さんはそれに加えて自分で本を読んだり、YouTubeで解説動画を見たりなど、意欲的に知識を得ようとしてくれていましたね。課題に対して本気で解決を目指す姿勢は中野さんの大きな特長だと思っています。Tableauを導入してからは過去のログもたどりやすく、ロスの詳細まで見られるようになったので、ビジネスの可能性が広がったと感じています。
中野 この案件以外にも、上司である近藤さんとのコミュニケーションの機会は多くあります。1on1も頻繁に実施してくれていて、そこで伝えた悩みや要望も聞いてくれます。今使用しているiPadもその一つです。精度の高いリアルタイム文字起こしアプリがiPadで使用できると知り近藤さんに相談をすると、iPadに加え収音性の高いマイクも部署で購入をしてくれることになりました。また、研修受講の際には、社内の担当部門が手話通訳の手配もしてくださいます。部署のメンバーも、オンライン会議で会話をするときは私が識別できるように名前を名乗ってから話し始めてくれたり、対面では筆談で話してくれたりなど嬉しい対応をしてくれており、すごく働きやすいです。
近藤 当たり前のことですが、基本的には、障がいがあることを意識するのではなく、他のメンバーと同じように接するようにしています。一方で、障がいのある方とのコミュニケーションを助ける技術的なツールはなるべく活用します。必要な物や対応を伝えてくれるのでこちらとしてもありがたいですね。また中野さんは、コミュニケーションを助けるツール以外に、業務で使用するさまざまなデジタルツールを次々に導入しています。その度に使い方を勉強してすぐに使いこなしているので、そのスピード感は私自身も見習いたいです(笑)
誰もが輝けるこの職場で
「ありがとう」を原動力に、前進し続ける
近藤 パナソニックにはさまざまなコミュニティや部活動がありますが、中野さんは何か参加していますか?
中野 聴覚障がい者のコミュニティ※2に参加しています。チャットグループで「こんな悩みありませんか?」「こういう時はどうしていますか?」など気軽に相談することができ、困った時に頼りになるコミュニティです。また、手話部の活動にも力を入れています。月に一度、手話ができる人・学びたい人、障がい者・健常者が混ぜこぜで集まり、手話での雑談や手話を使ったゲーム、飲み会などを楽しんでいます。
近藤 最後に中野さんの今後の目標を教えてください。
中野 仕事を通して、「ありがとう」を言ってもらえた時にやりがいを感じます。これからもできるだけ多くの「ありがとう」をもらえるように、部署を支えていきたいです。また、私の仕事は、品質の向上に直結する業務。自分の取り組みがお客さまにどう結び付くかを意識して一生懸命働いていきたいです。そして、私がここで活躍することで、社内の他の聴覚障がい者や今後入社を考えている方が自分の可能性を信じられるように影響を与えられたらいいなと思います。
近藤 課長としても、あらゆる人が個性や特徴を活かしつつ、楽しく真剣に、課題や目標に向かって取り組んでゆける環境を整えていきたいです。そのためにさまざまな取り組みや制度設計を行うことはもちろん、オープンに悩みを相談できる風土をつくることを意識しています。メンバーとの定期的な面談や、チャットで気軽に要件を伝えられる仕組みづくり、もちろん電話もいつでもウェルカムです。誰もが気持ちよく働ける職場が理想ですね。
中野 近藤さんはすごくコミュニケーションを取ってくれますが、障がいがある側からも、求める対応や要望を積極的に伝えることは大切だと思っています。これからパナソニックへ入社される方は、自分の障がい特性をしっかりと説明して、要望を伝えて欲しいです。ここは、私たち一人ひとりに向き合い、誰もが働きやすい環境づくりのために最大限動いてくれる職場です。


※1 データ活用プラットフォーム「Tableau」
https://www.panasonic.com/jp/business/its/tableau.html
※2 Panasonicデフ会 / Silent Lab(サイレントラボ)
https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/diversity-equity-inclusion/inclusive/community.html#sec5