ENTRY
クロストーク 06

CHRO×若手人事座談会

パナソニックではこれまで、20年以上前に策定された住宅施策を長年適用してきました。

今回、社員や社会にとってより魅力的な会社であり続けるために、住宅施策を現代向けにアップデートすることに。この改革のメンバーに任命されたのが、6人の若手人事社員です。

ここでは、CHRO加藤と6名が集まり、プロジェクトの苦労や想いを語りました。

パナソニック株式会社

取締役 常務執行役員

チーフ・ヒューマン・リソース・オフィサー(CHRO)

1990年入社

加藤直浩

  • エレクトリックワークス社

    人事・総務センター 人事戦略部 労政企画課

    2017年入社

    岸村耀子

  • パナソニック株式会社

    コンシューマーマーケティングジャパン本部

    人事部 人事企画課

    2018年入社

    小川裕太朗

  • 空質空調社 人事センター 事業人事部

    住宅システム機器人事二課

    2019年入社

    小出智弥

  • くらしアプライアンス社

    人事センター 人事戦略部

    労政企画室 兼 キッチン空間人事部

    2020年入社

    山元一慶

  • コールドチェーンソリューションズ社

    コールドチェーン人事部

    コールドチェーン人事課

    2021年入社

    伊藤美月

  • パナソニック株式会社

    人事総務部 人事課

    2023年入社

    青木祐輔

  • 「やっと変える時が来た」。 プロジェクトにかかる責任と期待。

    加藤

    パナソニックでは、社員の多様な働き方を応援するため、さまざまな福利厚生を用意しています。そのうえで今回、より魅力的な会社であり続けるために福利厚生の一部を見直すことに。まずは、ベースとなる「生活の空間」の土台を固めるべきだと考え、住宅施策の改革を決断しました。私自身も過去に寮を利用しており、正直思うところは多く、いつかは大幅に手を加えるべきだと考えていたのです。私がそうだったように、現在利用している当事者や、制度対象者も課題や問題点を感じているはず。そこで、現行の制度を利用できる年齢の若手社員のみを召集し、プロジェクトチームを発足しました。

    小川

    私はまさに、過去に寮を利用していた人間です。入社時は、基本的には入寮という選択肢しかなく、当時住んでいたアパートの家具もほとんど処分して寮に入りました。自分で決めることができなかったので、「もっと多くの選択肢があってもいいのに」とモヤモヤを感じていましたね。各分社の人事が集まったこのプロジェクトのミッションは、現行制度の課題と改善案を、加藤さんを含む経営層に提案すること。大きな期待感を抱いて初回打ち合わせに臨んだのを覚えています。

    青木

    メンバーに選ばれた時は、「やっと変えるタイミングが来た」と感じました。というのも、人事としての業務のなかで「寮から引っ越したいけど、引っ越すと補助が出ないので退職します」「結婚して補助が出ないのも退職の理由です」と、福利厚生への不満が理由で退職してしまう方を多く見てきたのです。そのため、高い使命感を持ってプロジェクトに参加しました。

    伊藤

    加藤さんが「若手にすべて任せる」と断言した時はすごく驚きました。人事が制度改訂に携わること自体は珍しくありません。しかし、それは分社内でのことですし、普段は上司と連携しながら進めていきます。これまでより何倍もの規模の仕事に、若手だけで取り組むことへの責任とワクワク感がありましたね。

    小出

    プロジェクトが始まってまず感じたのは、会社や拠点ごとの状況の違いです。転勤の有無、物価の違い、入寮が必須か否かなど、状況はまったく異なります。また、メンバー全員が各分社を代表して来ているので、とても大きな想いを背負っています。そのなかで、パナソニック(株)としての統一制度を決めるのは簡単なことではありませんでした。

    山元

    特に地域差は大きな壁でしたよね。家賃や生活費、環境が地域によって違うなかで、都市部と地方で同じ金額の補助を適用するのか。ここは何度も議題にあがりました。そこで、可能な限りメンバー全員でさまざまな拠点を実際に訪問し、寮生活の実態や現場社員のリアルな声を調査して、共通点を探っていきました。

    岸村

    最終的には地域によって施策を変えることはありませんでしたが、拠点巡りはとても新鮮で、いい経験になりましたね。その後、打ち合わせのたびにアイデアを出し、実に50案以上がテーブルに並びました。しかし、方向性の異なる案が増えていくばかりでなかなかまとめるのが難しい。一本の軸を定めるため、コンセプトを打ち立てることに決めました。

    正解・不正解ではなく 「どんな想いを実現すべきか」。

    岸村

    意見やアイデアを見ていると、「制度に選択肢があり、利用することで満たされながら働くことができる」という方向性で共通していることに気づきました。その視点でさらに意見を分解していくと、4つのキーワードが浮かび上がったのです。自分の暮らしに合わせて選ぶことができる「Free Choice」。これまで以上に充実したサポートを受けられる「Full Support」。満足しながらモチベーション高く働ける「Fulfillment」。自分やその家族もパナソニックを好きになれる「Fan」。この4つの「F」を軸にアイデアを再検討することで、実行すべきことが絞られていきました。

    小川

    4つの「F」を策定したことで、プロジェクトが一気に前進しましたよね。前例がなく正解・不正解も存在しないこのプロジェクト。何を実現すべきかを軸に考えることは非常に重要でした。

    青木

    最終的には、社宅利用者の適用拡大や寮以外への住宅補助などの案が残りました。また、パナソニック(株)らしい「暮らしを豊かにする」特徴的な案も生まれました。まだ詳細についてはお伝えできないのですが、これから入社される皆さんにとって魅力的な制度になることは間違いないと思います。

    小出

    実現したい案が少しずつ形になっていく一方、現実問題として施策に対する会社側のコストも存在します。しかし、私たちも多くのアイデアから「受益者視点で考えると絶対に必要だ」という案を厳選しました。コストと想いのバランスを意識しながらも、最終的には「従業員にとって実現して本当に良かったと思える案かどうか」を重視して、思い切った提案をすることを決めたのです。

    山元

    そして、いざ迎えた加藤さんや人事責任者、経営層への提案の日。現状の課題と今取り組むべきことが十分に伝わることを意識して、プレゼンに臨みました。この2ヶ月間の議論を最善の結果に変えられるよう、情熱を込めたことを覚えています。ちなみに今だからこそ伺いますが、加藤さんはあの時に提案を受けてどう感じていたのですか?

    加藤

    方向性は私が想定してものと大きな相違はありませんでした。一方、若手らしく斬新で思い切った施策であることと、費用対効果の面でも分析してくれていましたので、率直に今すぐにでも実現したいと感じましたね。そもそも、若手に任せると決めた以上、提案はできるだけ受け入れたいと考えていたのです。こういった若手主導のプロジェクトを発足させるうえで最も重要なのは「権限委譲」です。もちろん、最終的に細かい社内の調整は経営層や関係部門を含めて行う必要がありますが、実際に利用する若手社員たちの想いからかけ離れた施策になるのであれば意味がありませんから。

    伊藤

    正直、最終的に提案内容のほぼすべてを承認してくださったことにはとても驚きました。「プロジェクトを通して数多く受け取っていた若手社員たちの想いが実現した」と喜びが込み上げたあの瞬間は忘れられません。

    現状に固執せず、時代に合わせた 柔軟な運用を目指す。

    伊藤

    今回のプロジェクトを通して、普段は聞けない、ほかの人事の皆さんの本音に触れることができたのもいい経験になりました。全員が一つの目標に向かって想いを共有し、時には意見をぶつけながら進めることが刺激になり、成長につながった実感があります。

    青木

    人事間の「つながり」が強まりましたよね。プロジェクトがひと段落した今でも、チャットグループは頻繁に動きますし、人事ならではの相談も気軽にできるようになりました。パナソニック(株)はとても大きな組織ですので、社内分社が異なるだけで制度・運用方法も変わってきます。今回出会った分社の異なる仲間たちと知識・経験を共有しながら、パナソニック(株)として全体最適でどうやって人事施策を推進していったら良いか、という視座を得られたこともプロジェクトにおける財産の一つです。

    加藤

    実は、横のつながりの強化も、若手だけのチームを招集した理由の一つなのです。33年間ここで働いた経験から、つながりの重要性は知っています。全員が知恵を絞り課題を解決することで、関係を深めてほしいと考えていたので、青木さんの言葉を聞いて嬉しい気持ちになりました。

    岸村

    私が今回のプロジェクトで特に感じたのは、人事は経営者と社員の両方のパートナーであるということです。社員の想いを汲みながらも、経営視点を持たなければならない。ここが難しさであり、やりがいでもありますね。事業成長と幸せになれる働きかたの両輪で組織を変えていける存在になりたいと、改めて感じる機会になりました。

    山元

    ジョブ型雇用の普及もあり、これからは一人ひとりが適材適所で活躍していく時代になっていくと考えられています。今回のプロジェクトをきっかけに制度改定に向けて動き始めましたが、それで終わりではありません。社会環境や従業員のニーズは刻一刻と移り変わるのです。今後はさらなる選択肢を増やしたり、内容を充実させたりして、より個々が満足できる制度づくりを行なっていきたいです。

    加藤

    山元さんが言う通り、制度って柔軟に変えていいものだと思っています。今回も、提案された全ての案がすんなり受け入れられたわけではありません。一部の案においては、経営層のなかでコスト的な観点で議論が発生しました。しかし、リスクばかりを恐れて二の足を踏んでいては何も変わりません。まずは、やってみる。それでダメだったら変えていく。そうやって、社会や時代に合わせながら調整していくことで、働きやすさにつながるのだと考えています。企業の成長は、「人」からしかあり得ません。全社員が楽しく、幸せに働ける企業を目指し、施策のアップデートや新施策の企画・実施に取り組んでいきます。最後になりますが、今回プロジェクトに参加いただいた皆さん、本当にいい提案をありがとうございました。皆さんは未来のパナソニックを担う世代です。これからも現状に甘んじることなく、自分たちが主役となって考え、悩みながらも組織の変革にチャレンジしていってください。

    ※所属・インタビュー内容は取材当時(2024年2月)のものです。

    そのほかのクロストーク